Super Heavy Booster 4 グリッドフィン取り付けから発射台設置まで
2021年8月5日、Starship初の軌道飛行で使用されるブースター、Super Heavy Booster 4が完成したばかりの軌道発射台に設置されました。
今回はBooster 4のグリッドフィン取り付けから発射台設置までをまとめてみました。
※特に記載がない場合、日時は日本時間です。
グリッドフィン取り付け
8月1日、Booster 4にグリッドフィンが取り付けられました。
この時点ではBooster 4はまだ上部と下部に分かれており、グリッドフィンは上部に取り付けられました。
Super Heavy のグリッドフィンはFalcon9と大きく異なる点が二つあります。
一つ目はFalcon9は4枚が90度ごとに配置されているのに対し、Super Heavyは2枚ずつ左右に寄った配置になっている点です。
二つ目はFalcon9のグリッドフィンは通常折りたたまれていて帰還時に展開する仕様であるのに対し、Super Heavyのグリッドフィンは固定されていて折りたためない点です。
Super Heavyはまだ一度も飛行したことがないためこの仕様は実際の飛行で得られたデータをもとに変更される可能性はありますが、シミュレーションでは問題なかったとのこと。 Everyday Astronautの動画内でイーロンマスクが明らかにしています。
スタッキング
2日早朝にはBooster4のスタッキングが行われました。
ブースターの下部にグリッドフィンが取り付けられたばかりの上部が積み上げられました。
エンジン取り付け
Super Heavy Booster 4には29基のラプターエンジンが搭載されます。
ラプター (Raptor) は、アメリカ合衆国の宇宙企業スペースXが開発中の液体メタン/LOXの液体燃料ロケットエンジンである。同社が開発中の超大型ロケットであるスターシップ/スーパー・ヘビーに搭載する事を目指し開発されている。
ラプター (ロケットエンジン) – Wikipedia
2日午前7時半ごろ、Super Heavy Booster 4に搭載される最初のエンジン「RB7」が組立棟「ハイベイ」に運ばれてきます。
そこから次々にエンジンが運ばれてきます。
約一時間で4基のエンジンが運ばれてきました。
運ばれてきたエンジンは順番にBooster 4に取り付けられていきます。まるでバケツリレーのようです。
最初のエンジンが運ばれてきてから8時間後、運ばれてきたエンジンは合計19基となりました。
各エンジンには名前に「RC」か「RB」が付いています。
RC…姿勢制御用ジンバル機能付き(内側に配置)
RB…姿勢制御用ジンバル機能なし(外側に配置)
となっています。
エンジンの配置についてはわかりやすい画像がTwitterにありました。
外側に配置される20基のRBエンジンは姿勢制御用のジンバル機能はありません。
内側に配置される9基のRCエンジンには姿勢制御用のジンバル機能があり、噴射方向を変えられるようになっています。
最初のエンジンから約11時間後、25基目のエンジンが運ばれてきました。
エンジンは運ばれてきたらすぐにブースターに取り付けられていたので、約半日で25基ものエンジンがBooster 4に取り付けられたものと思われます。
正確にはわかりませんが、そこから約5時間後、最初のエンジンが運ばれてきてから約16時間後には29基すべてのエンジンの取り付けが完了したようです。
その後イーロンマスク氏がエンジンが取り付けられたBooster 4の画像を投稿しました。
ロールアウト
Booster 4のロールアウトは4日午前1時ごろ始まりました。
組立施設から約3.4km離れた発射場へ輸送されます。輸送には通常30分~1時間ほどかかります。
Ship、Booster、タンクなどがロールアウトする際は事前に道路閉鎖情報が発表されます。
道路閉鎖やロールアウトの情報は大抵 ΔV(@DELTA_V)や Starship Status | Bot@Starship_Status(@Starship_Status)などのツイッターアカウントで事前に知ることができます。
また、サイトstarshipstatus.spaceではお住いの地域のタイムゾーンで道路閉鎖の時刻を簡単に確認することができるのでとても便利です。中の人もよく使っています。


発射台に設置
発射場に到着したBooster 4はクレーンに取り付けられ、5日早朝に軌道発射台への設置作業が始まりました。
輸送用マウントから発射台へクレーンで移されます。
イーロンもこの時の様子をツイートしました。
29基のラプターエンジンの配置がよくわかります。ノズル内部が白いエンジンがいくつかありますが、白いのはまだ一度も燃焼試験を行っていないためだと思われます。
午前7時10分ごろ、Booster 4は無事発射台に設置されました。
以上、Super Heavy Booster 4のグリッドフィン取り付けから発射台設置までのまとめとなります。
少し遅れていますが、次回はStarship S20もまとめてみようと思います。